私は、2020年3月からメキシコペソ円のトラリピを運用してきました。

ちょうど1年経過し、たまたま全てのトラリピの総合損益がプラスになったので、設定内容やトータルの成績を総括したいと思います。

メキシコペソ円を選んだ理由

私は、以前はメキシコペソなどという危なっかしい通貨には近寄らなかったのですが、2019年の12月にマネースクエアの山本会長のセミナーを受講して興味を持ち、その後、直接同氏の助言を受けて始めたのでした。

山本会長によれば、2020年2月現在、最もオススメの通貨ペアはメキシコペソ円であり、その理由は、
  1. スワップが高い。
  2. 1円当たり総推移が大きくトラリピ 向きである。
  3. 政治経済の状況から、トルコリラのような暴落はあり得ず、むしろ上昇が期待できる。
とのことでした。

ただし、3については、そうは言っても何があるか分からないから、別の口座を開設してメキシコペソ 円専用にした方が良いとのことでした。通常は口座を複数持つことはできないのですが、口座残高2000万円以上のスリーミリオンクラブ会員は、特別にそれが可能となるのです。

そこで、その通りにサブ口座を開設してとりあえず100万円を入金し、2020年3月2日、次のような設定で買いトラリピを仕掛けました。
  1. 仕掛けるレンジ 5.4〜5.84円
  2. トラップ値幅 0.004円
  3. 1本当たりの通貨量 1万通貨
  4. 仕掛ける本数 99本
  5. 利益金額 500円
  6. 決済トレール 設定なし
  7. ストップロス 設定なし
  8. 強制ロスカット価格 100万円の場合=4.777円 
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この設定は、山本会長の助言を踏まえて、私なりに検討して決めた内容です。

一般的な助言として、
  • 運用予定資金を3回くらいに分けて仕掛けると良い。
  • 最初に仕掛けるレンジ幅は、月間の平均高低差を目安とすると良い。
ということがあったので、レンジ幅は月間平均高低差0.3円より少し広い0.44円にしました。

通貨量は、一応、100万円の資金で過去最安値となっても強制ロスカットされない量にしましたが、過去最安値を更新することも想定しており、それに対応するための資金は用意してありました。



当時のスワップは1万通貨あたり1日10円だったので、仕掛けたトラリピ99万通貨が全て成立すると、1ヶ月で3万円、半年で18万円、1年で36万円の収益となる見込みでした。

そのため、損益分岐点は、当初は5.596円ですが、1年後には5.187円となるはずでした。



当時、新型コロナウイルスでリスクオフが進みつつありましたが、本当のショック相場はまだ始まっていませんでした。

私は、発注の直前にマネースクエアに電話をかけて、「もう少し待ったほうが良いようにも思うが、どうか?」と相談しましたが、答えは「急落した今が逆にチャンス」でした。

今から思えば、せめてあと1週間待っていれば、もっとずっと有利な運用ができたのですが・・・

相場の未来はわからないものであり、プロの言葉はあてにならないものです。

ほんと、村上春樹じゃないけれど、「やれやれ」と思いました。

1年間の値動きと収益

メキシコペソ円は、その後あっという間に過去最安値を割り込み、なんと4.246円まで暴落しました。

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当初の強制ロスカット価格にも到達したわけですが、もともと300万円くらいの資金を想定していたので、100万円を追加入金してロスカットを回避しています。

山本会長をはじめとするマネースクエアのスタッフへの信頼を失ってしまったので、それ以後は相談せず、自分の判断で追加の仕掛けをしました。

レンジを下に抜けるたびに少しずつ追加し、結果的に4.000円〜5.400円に買いトラリピが追加されました。

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今思えば、これはミスでした。

暴落が落ち着いてから(例えば週足が前週の高値を超えてから)仕掛ければ、もっと狭いレンジに多くの本数を仕掛けることができ、収益力が高くなったはずです。例えば次のように。

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ちょっと冷静さを欠いていたのでしょうね。

この経験は、将来に生かしたいと思います。



結果として、4.000円〜5.636円に仕掛けたことになり、その後の値動きは次の通りでした。

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こうしてみると、ある意味思惑通り順調に上昇していったようにも見えます。

しかし、主要国の対円通貨ペアが急激に反騰して行ったのに比べると、メキシコペソ円の上昇の仕方は非常に緩慢なものでした。

スワップも2円に下がってしまいました。

月間利益は、11月の9万円超えなど大きな利益を出した月もありましたが、1万円を下回るという情けない月もあり、浮き沈みが激しい印象でした。

最終的な運用結果は、次の通りです。
  • 運用期間 2020年3月2日〜2021年3月31日
  • 入金額 200万円
  • 売買損益 209,500円
  • スワップ 156,471円
  • 損益合計 365,971円
  • 平均月間利益 24,336円
  • 年利 16.9%
年利16.9%は、十分に満足できる立派な成績ですよね。

月間損益、確定損益、総合損益をグラフにすると、こんな感じです(総合損益=確定損益ー評価損益)。

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スワップの威力

メキシコペソ円を1年間運用してみて感じたのは、やはりスワップの威力です。

私が全てのトラリピを決済した2021年3月31日の終値は5.406円であり、最初に仕掛けたトラリピのレンジ(5.400円〜5.840円)の下限ギリギリの価格です。

にもかかわらず総合損益がプラスとなったのは、まさにスワップの威力なのです。

3月1日〜31日の損益は、
  • 売買損益 -58,290円
  • スワップ 97,431円
  • 損益合計 39,141円
でした。

ポジションが建値に戻らなくても時間が経てばスワップが増えて損益がプラスになるというのは、なんとも言えない安心感があります。

そういう意味では、やはり高金利通貨は、ビジネストレードないし資産運用の一つの選択肢になり得るわけです。

なぜやめるのか

それなら、なぜメキシコペソ円のトラリピ運用をやめるのか?

スワップは1年前に比べると随分下がってしまいましたが、それでも1万通貨あたり1日2円なら1年で700円以上、100万通貨保有すれば7万円以上になります。

しかも、最近の値動きを見ると、遠からず6円くらいまでは上昇しそうな勢いがあります。

それなのにトラリピをやめたのは、第1に、メキシコペソ円がトラリピ向きではないと判断したからです。

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これは、メキシコペソ円の2002年からの月足です。

明らかに長期的な下降トレンドを形成しており、直近でも史上最安値を更新しているのです。

この先、どこまで下がるかわからず、また、どこまで戻るという見通しもつきません。

従って、「長期的な平均価格に必ず戻る」というFXの特徴をベースにした戦略を取ることができず、ストップロスを置かない長期トラリピには向いていないのです。

もちろん、これは最初からわかっていたことであり、だからこそ私はメキシコペソ円などという通貨ペアには興味を持たなかったのでした。

そもそも山本会長の話を聞かなければ決してやらなかったであろう通貨ペアなのです。


第2に、もしスワップに期待してポジションを持つなら、1万通貨あたり1日5円などもっと有利なFX会社があります。

スワップ狙いなら、別にトラリピを仕掛ける必要はなく、積み立て投資のようにして買っていけば良いので、他社で運用する方がベターです。



以上がメキシコ円を全決済して資金を引き上げた理由です。

新戦略の検証

私は、FXトラリピに関する新たな戦略ついて、noteで記事を書きました。

 

 

そして、②の利確の手法については、2021年1月20日〜3月31日という短い期間ですが、メキシコペソ円で検証をしました。

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上が利益値幅を1年間の日足ATRとした場合、下が私の新手法です。

1ヶ月あまりの期間で、約5000円の差が出ました。

1年間で45000円くらいの差が出る計算です。

今後について

繰り返しになりますが、メキシコペソ円の運用で痛感したのは、スワップの威力です。

今後、この経験を生かし、さらに危ないトルコリラ円などに挑戦するかもしれません(他社で)。



それともう一つ痛感したのは、プロの相場予想は当てにならないということです。

これも最初からわかっていたことなのですが、つい魔が刺したというか・・・

マネースクエアの過去のM2TVなどを見てみると、アナリストたちがどれほど相場予想を間違えているかがよくわかります。

そもそもトレードは、相場が思惑通りに動かなかったらどうするかをあらかじめ決めておくことが重要です。

つまり、ストップロスを置いてトレードするのであれば、アナリストの予想を信じても構いません。

しかし、ストップロスを置かずにトレードする場合は、基本的にはアナリストの短期的な予想をベースにするべきではありません。

今後、長期トラリピについては、それを肝に銘じていきたいと思います。